2011年3月6日日曜日

OB/OG向けのサービス一般と演奏活動との微妙な関係

 軽音楽系のサークルだと、順繰りに入れ替わる現役生の間で少人数のバンドが組まれて、そのゆるやかな「連合体」みたいな組織になっている。稲門祭みたいな卒業生の行事でも手の空いているOBバンドのいずれかが出演するので、全体を統括するような演奏団体のようなものは成立しないようだ。一方、合唱や中・大規模な器楽系のサークルの場合、卒業後も同じサークルの看板で演奏しようと人数や年齢層においても包括的な演奏団体ができやすくて、稲門グリークラブなどはよく知られたところだろう。

 音楽サークルのOB/OG組織やその運営を考える上で、功罪相半ばする面倒な問題となりがちなのが、出身者による「演奏団体」の存在である。これは主に、名簿や会費の管理、各種行事の主催など卒団生向けの業務一般との関わり合いにおいて噴出する。

 早混の場合、創立50周年を迎えるまで現役はもとより大学の校友会からも公認される正式なOB/OG組織がなかった。その原因や背景はさておき、先行して1990年代の始めに結成された早混OB・OG合唱団では、当初「自分たちの合唱団がOB/OG会の役割を果たしてはどうか」という声が挙がっていたという。稲門グリークラブの例に倣ってということだったようだが、卒業生の演奏団体がOB/OG会そのものになろうとすると弊害も多い。

 演奏団体-ここではOB・OG合唱団-にとっては、早混の卒団生イコールわが団の団員と定義づけてしまえば、練習や演奏会に参加する人材の確保も保証されるし、会費収入が活動へのサポートとして期待できる…等々、一見いいことずくめではある。しかし、肝心の演奏団体のやっている音楽活動がそれぞれのOB/OGが現役時代から育ててきた好みや関心と合致していれば良いものの、そううまい具合には行かない。それに当人の承諾もなしに「あんたは早混の卒団生だから、うちの団員です。参加ご協力を」と見も知らぬ人たちから一方的に言われたら反発をかうはずである。まして、地方や海外に在住していたり、仕事や家庭の関係で演奏会どころではない人間にまで演奏活動の費用だかOB/OGの管理業務だか現役の支援活動だか趣旨の判然としない金を要求するのでは杜撰すぎるだろう。

 結局のところ、創立50周年を機にOB/OG通信で当時の早混の会長名で記念式典を呼びかけ、その席上でOB/OG会の設立を提案し、その後、各学年の元役職経験者などに根回ししてほぼ全ての年齢層から了解を取り付ける形で早混稲門会が発足することとなった。それでも中には情報がしっかり伝わってなかったらしく、OB・OG合唱団の活動と稲門会の業務を混同したり誤解したりする向きがあり、説明に手を焼いたこともあった。グリークラブでも、合唱団とは別にOB会として名簿管理や広報物の発行を実施する形に改めたそうである。

 早混に限らず、卒団生の演奏活動で最大の難点は、数十年に及ぶ年齢層を幅広く網羅出来るような音楽シーンを継続的に作り上げることができず、結局、特定の世代が企画や選曲を独占してしまって、他の世代に総スカンを食うという失敗をやってしまうことだが、これについては別の機会に書いてみたい。